Clusterとは・・
Clusterとは、ソーシャルVR(*)と呼ばれる、3DCG空間上でアバターを介してコミュニケーションをとることができるサービス(ソフトウェア・プラットフォーム)の一つです。
日本発のソーシャルVRで、いくつか有るソーシャルVRの中でも、Clusterはバーチャルイベントの開催に特化しています。
他のソーシャルVRと同様に、Cluster内では、ユーザーは「アバター」のかたちで活動します。
コミュニケーションは音声が中心ですが、文字(コメント)でもコミュニケーションできます。
また、エモーション(いいね、拍手、ハートなど)を表示したり、アバターの顔の表情(喜びや悲しみなど)を変えたりすることもできます。
Clusterでは、「ワールド」という所で活動します。
Clusterで有名なワールドは、「バーチャル渋谷」ですね。
様々なワールドに行き、そこで他のアバターと会話したり、行われているイベントに参加したりします。
(*)ソーシャルVR:
VR(仮想現実)の世界で、アバターを介して、多人数でコミュニケーションをおこなうアプリ、あるいは環境。
ソーシャルVRについては、以下の記事を参考にしてください。
メタバースに関する話題では、ソーシャルVRという言葉を時々ききます。では、ソーシャルVRって、何でしょう?「「VRChat」や「Neos VR」の事だよ」とも言われますが、そもそも、まだ「VRChat」や「Neos VR」をよく知らないんで[…]
Clusterの特徴
他のソーシャルVRと比べて、Clusterには、次のような特徴があります。
・多種多様なイベントが開催されている
・VR機器のほか、スマホのみや、PCのみで利用可能
・誰でも手軽にイベントや会議を開催するための機能が標準で提供されている
・誰でもバーチャル空間(ワールド)を作れる
・日本語ガイドがある
それぞれについては、後で説明していきますね
Clusterはスマホでも利用ができる
Clusterの一番の特徴が、スマホからでもアクセスできるということでしょう。
他のソーシャルVRは、PC(それも高性能な)や、VRヘッド(Quest2など)が必要です。
それに対してClusterで遊ぶには、スマホがあればOK。
イベントでいえば、平均7〜8割が、スマホからのアクセスのようです。
(イベントは、VRヘッドなどを持っていない人が、どうしてもそこに行きたい・見たいケースが多いからでしょう。)
もちろんVRヘッドがあれば、すばらしい没入感が感じられます。
Clusterのイベント
Clusterの特徴の1つは、誰でもイベントが手軽に開催できることです。
そのため多種多様なイベントが開催されています。
有名なイベントとしては、「バーチャル渋谷 」で行われた「ハロウィーンフェス」や、ポケモンのバーチャル遊園地「ポケモンバーチャルフェスト」などがあります。
2021年の「ハロウィーンフェス」には、世界中から55万人が参加、2020年の「ポケモンバーチャルフェスト」には、300万人が参加したようです。
「ポケモンバーチャルフェスト」は2022年8月に開催が予定されていますし、「ハロウィーンフェス」も今年も行われることでしょう。
このような大きなものでなくても、多種多様なイベントが毎日開催されています。
(ClusterのWebページで、イベントの一覧が見れます。)
また開催するのが比較的容易なのも、Clusterの特徴です。
イベントや会議を、誰でも手軽に開催するための機能が、Clusterでは標準で提供されています。
イベント作成機能、参加者の権限設定、資料を表示するスクリーン、テキストチャット、ギフト(Vアイテム)などなど。
PCの画面共有機能は、講演会のようなイベントで、自身のPCの画面を表示することなどに使えますね。
公開範囲が「公開」の場合は、最大500人が同時アクセスできるイベントを、最長4時間開催できます。
「限定公開(*)」の場合は、同時アクセス数が50人で、時間は40分になります。
これだけ大規模なイベントを容易に開催できるVRサービスは、他には無いのではないでしょうか。
*限定公開:URLを知っているユーザーのみが入室出来るイベント
Clusterのワールド
Clusterでの活動は、何処かのワールドに入って行います。
Clusterで有名なワールドといえば、「バーチャル渋谷」「バーチャル原宿」「バーチャル丸の内」「バーチャル大阪」ですね。
特に「バーチャル渋谷」では、上記ハロウィーンイベントの他、「鬼滅の刃」のイベントが開催されたりしています。
このような大きなワールドの他に、個人ユーザーや企業が作った小さなワールドもたくさんあります。
ゲーム空間はもちろん、カフェやバーなどの落ち着ける場所、猫を見つける街並み、宇宙を旅するもの、いろんな展覧会、恐怖ワールド、etc.
仕事にも使えるバーチャル会議室なんかもあります。
またClusterのワールドは、プログラミングの知識がない人でも簡単に作れるのが特徴です。
「ワールドクラフト」機能では、既に用意されているアイテムを設置していくだけ。
そのアイテムも、順次増えていっています
公式ワールド
Clusterには、公式のワールドが2つあります。
「ロビー」と「ホーム」です。
メニュー画面に表示されているので、それを選択して行くことができます。
【ロビー】
待ち合わせに使えそうな広場です。
(Clusterで待ち合わせが必要かは疑問ですが・・)
おすすめのワールドの紹介もしているので、そこで行き先を決めてもいいですね。
【ホーム】
これは各個人に与えられた、プライベートなワールドです。
自分以外は入ることが出来ません。
(ただし、3人までフレンドを招待できます。)
鏡や、持つことができるアイテム(ボールなど)があるので、アバターのチェックをしたり、操作の練習をしたりするのに使えます。
一人でのんびりするのもいいかと(それなら他のワールドをプライベートでサーバー立てたほうがいいですね。)。
サーバー
ここで「サーバー」という概念を説明しておきます。
(一般的なファイルサーバーやWEBサーバー等とは違うので・・。)
Clusterでは、1つの部屋に25人しか入ることが出来ません。
ですので、同じような部屋をいくつも作れるようになっています。
この部屋をClusterでは「サーバー」と言います。
ある「ワールド」に入る場合は、このワールドの「サーバー」を誰か(自分あるいは他の人)が作って、その中に入ることになります。(「サーバーをたてる」といいます)
1つのワールドに、いくつもの「サーバー」が作られることになります。
「自分の入っているサーバー」内にいるアバターとは、自由に会話ができます。
しかし「他のサーバー」にいるアバターとは、同じ「ワールド」でありながら、姿を見ることも、声を聞くことも出来ないんです。
また、どのサーバーも自由に入れるわけではありません。
サーバーを作る際、下記の「フレンド」とも関係して、「誰がこのサーバーに入れるか」が設定できるんです。
サーバーの種類には、次のものがあります。
・パブリックサーバー
一般的なサーバーで、誰でも入ることができるところです。
・パーティーサーバー
そのサーバーにいる人のフレンドは、入ることが出来ます。
逆に言えば、フレンドがそこにいれば、自分も入ることが出来ます。
ですのでそこにいる人は、「フレンドのフレンドのフレンドの・・」と、芋づる式に友だちができる感じです。
・プライベートサーバー
この「サーバー」を開いた人が招待した人だけが、入ることが出来ます。
設定によっては、この「サーバー」を開いた人のフレンドなら入ることが出来たり(招待がいらない)、URL・ポータル(*)から入ることが出来たりもします。
(*)ポータル:特定のワールド・サーバーに移動できるオブジェクト。他のワールドに設置する。
ワールドとイベントの違い
ここで、ワールドとイベントの違いについて、書いておきましょう。
<マイク>
ワールドでは、誰もがマイクを使うことができます。
マイクを使うと、そのワールドにいる人全員に声が伝わります。
ただし、距離に従い音が小さくなりますので、遠くの人の声は聞こえなくなります。
一方イベントでは、スタッフやゲスト権限のある参加者しか、マイクが使えません。
(ただしグループビューイングを使うと、グループ内での会話にマイクが使えます。)
イメージで言えば、ワールドは「会議室」で、その中の打ち合わせでは、誰もが声を発して、それがすべての人に伝わります。
一方イベントは「講演会」で、話す人は決められていて、その人の声は参加者に聞こえますが、一般参加者の声は、他の人には聞こえないのです。
<入れる人数>
ワールドは25人ですが、それを超えても、別のサーバー(上記)が出来てそこに入れます。
イベントに関しては、公開イベントは500人まで、限定公開イベントは50人までです。
(バーチャル渋谷のハロウィーンフェスのようなイベントは、これらとは別の仕様ですね。)
<利用時間>
ワールドは常時設置されているので、いつでも使うことが出来ます。
一方イベントは、そのイベントの開催期間だけです。
一般的なイベントの場合、公開イベントは4時間まで、限定公開イベントは40分までです。
<Vアイテム>
Vアイテムとは、いわゆる「投げ銭」で、購入して使用することが出来ます。
イベントでVアイテムを贈ると、画面に表示されてイベントを盛り上げたり、出演者や運営者を金銭的に応援することが出来ます。
(詳しくは後述します。)
Vアイテムは、イベントで使うことが可能です。(ワールドでは使えない)
アバター
バーチャル空間内では、自分自身はアバターとなり、他のアバターと会話したり、移動したりして楽しみます。
そのアバターは、自由に変更ができます。
着せ替え程度ではなく、容姿・性別にとらわれませんし、動物にもとらわれません。
(ただし人型以外は難しいようです)
Clusterには、オフィシャルアバターが5種類用意されています。
男女2種類ずつ + 箱型ロボット
オフィシャルアバターですと、かぶったアバター続出なので、やはりオリジナルが欲しくなりますね。
購入したアバター(無料のもあります)や、自分自身で作成したアバターを使うことも出来ます。
Clusterでは、「アバターマーケット」というイベントが時々開催されています。
ここでは、いろんなアバターが販売されていて、試着して気に入れば、購入することが出来ます。
また「BOOTH」や「Vroid Hub」といったサイトでも購入できます。
もちろん、自分で作ることもできますよ。
フレンド
Clusterのフレンドは、単に仲の良い人というだけではありません。
フレンドだからできる事が、Clusterにはあります。
<フレンドだから出来ること>
フレンドですので、すぐに会って話したいですよね。
そのために、フレンドがどのワールドにいるかを知ることが出来ます。
そのワールドへの参加ボタンを押すと、そのフレンドがいるワールドにとんで行く事ができます。
逆に、自分がいる場所にフレンドを招待する事もできます。
フレンドへの「招待」を押すと、相手に通知が届きます。
相手が「参加」すれば、すぐに相手が来てくれます。
また、「そこにいるユーザのフレンドだけが入れるワールド」のように、入れるワールドにも関係してきます。
(「ワールド」の項目を参照してください)
エモーション・表情
Clusterでは、気分を表示する機能があります。
「エモーション」と「表情」です。
「エモーション」とは「いいね」などが画面に表示される機能です。
種類には、「いいね(手のグッド)」「拍手」「ハート」があります。
また音楽イベントなどで使える「サイリウム(光る棒)」も色違いで数種類あります。
「表情」には「Neutral(通常)」「Joy(笑顔)」「Angry(怒り)」「Sorrow(悲しみ)」「Fun(穏やか)」「Surprised(驚き)」があり、選択するとそれぞれの表情に変わります。
(「表情」機能が設定されているアバターで有効です。また上記6種類の一部のみが使える場合もあります。)
また、「エモーション」と「表情」を組み合わせた「エモート」という機能も有ります。
Vアイテム・クラスターコイン
イベントに参加すると、イベントの出演者や運営者を応援したくなりますよね。
Clusterには、いわゆる「投げ銭」の機能があります。
それが「Vアイテム」です。
Vアイテムを購入して、ステージに向かって投げると、画面に表示されますので、会場が盛り上がりますね。
Vアイテムは「クラスターコイン」で購入できます。
「クラスターコイン」とは、Cluster内での通貨です。
「クラスターコイン」では、次の用途で使うことが出来ます。
・Vアイテムの購入
・アバターの購入
・イベントチケットの購入
(一般的な「仮想通貨(暗号資産)」ではありませんので、ご注意ください。)
さらにクラスターコインはアプリ内で購入します。
1クラスターコイン=1円
Clusterには日本語ガイドが有る
Clusterは日本発のソーシャルVRです。
ですので当然ながら、日本語のガイドが有ります。
そしてユーザーも日本人が多いです。
海外発のソーシャルVRでは、オフィシャルな日本語ガイドは少ないですね。
(親切なユーザーが個人的に作っていたりはしますが。)
人気の海外ソーシャルVRには、日本人ユーザーも数多く参加していますが。
Clusterは、日本人にとって非常に敷居の低いソーシャルVRなんですね。
Clusterで遊ぶための機器は?
Clusterで遊ぶための機器や環境には、次の4種類があります。
スマートフォンでも遊べるのが特徴ですね。
① スマートフォン(モバイル版)
② PCのみ(デスクトップ版)
③ VRヘッドセットのみ(Quest2版)
④ PC+VRヘッドセット(VR版)
①スマートフォン(モバイル版)
Clusterの特徴の一つが、ソーシャルVRをスマートフォンで遊べるということです。
画面に表示されるUI(タッチボタン)をタップすることで、アバターを動かしたり、様々な操作をすることが出来ます。
スマホでゲームをしている感覚ですね。
VR版との大きな違いは、身振り・手振りに制限があることでしょうか。
VRへの没入感は得られませんが、気軽に始められるのがいいですね。
App Store や Google Play からアプリをダウンロードして使用します。
最低動作環境は、
<iOS>
iPhone X 相当以上
<Android>
Google Pixel 3 相当以上
メモリ:3GB 以上
GPU OpenGL ES 3.0 以上をサポート
ASTCテクスチャ形式をサポート
推奨スペックは、
iOS :iPhone 11相当以上
Android:Google Pixel 4相当以上
②PCのみ(デスクトップ版)
PCのモニター画面を見ながら、キーボードとマウスを使って操作します。
例えば、Zキーを押しながらマウス等を操作することで左手を、Cキーを押しながらマウス等を操作することで右手を動かすことができます。
Windows版だけではなく、MAC版も有ります。
VR版と比較して、没入感は弱いですが、スマートフォン版より大きな画面で見られるのがいいですね。
最低動作環境は下記の通り。
④のPC+VRヘッドセット版に比べて、グラフィックの能力が少々弱くても大丈夫のようです。
<Windows>
CPU:Intel Core i5-4590 / AMD FX 8350 以上
メモリ:8GB 以上
グラフィックス:Intel Iris Graphics 540 以上
ストレージ空き容量:最低 2GB 以上
<Mac>
MacBook Pro 13インチ 2016年モデル以上
CPU:Intel Core i5 以上
メモリ:8GB 以上
グラフィックス:Intel Iris Graphics 540 以上
ストレージ空き容量:最低 2GB 以上
推奨スペックとしては、
グラフィックボードを搭載した、いわゆるゲーミングPCレベルのパフォーマンス要件を満たすもの
となっています。
③VRヘッドセットのみ(Quest2版)
PCが無くても、VRヘッドセットのみで、Clusterを楽しむことが出来ます。
VR(仮想現実)で楽しむ一番の特徴は、その空間に没入することができることでしょう。
それがPCを必要とせず、かつVRヘッドセットとしては、比較的価格の安いQuest2でできるのです。
Quest2へのアプリのインストールには、スマホかPCが必要ですが、インストールしてしまえばQuest2単独で操作ができます。
④PC+VRヘッドセット(VR版)
ClusterをVR(仮想現実)として遊ぶには、最強の機器ですね。
ユーザーはその空間に没入できますし、画像表現に制限がなく、動作もスムーズです。
ただしその分、PCには高いスペックが必要になります。
【PC】
最低動作環境
CPU:Intel Core i5-4590 / AMD FX 8350 以上
メモリ:8GB 以上
グラフィックボード:NVIDIA GTX 970 / AMD R9 290 以上
ストレージ空き容量:最低 2GB 以上
推奨スペック
VR Readyのパフォーマンス要件を満たすPC
(VR Readyについては、改めて記事にしたいと思います。)
【OS】
推奨しているOSは以下の通りです。
・Windows
Windows 10 64bit
・Mac
macOS 10.13 High Sierra、またはそれ以降
・iOS
iOS 14.0、またはそれ以降
・Android
Android 9.0、またはそれ以降
【VRデバイス】
対応機種は、以下の通りです。
・SteamVR(OpenVR)対応PC向け
・Meta Quest 2